前編では「脳が記憶をどのように扱うのか?」について述べました。
今回はセルフイメージの本体である記憶そのものを書き換える具体的な方法について一気に書こうと思います。
ここからは実践的な手順となりますが、
「記憶そのものを書き換える」と聞いて
え?∑(゚Д゚)
と思ったあなたは、脳を徹底攻略してセルフイメージを変えてみよう(理論編)を先に読んでくださいね。
▼ Contents
セルフイメージを上げるために明確なビジョンを持たなければならない理由
良くも悪くも「今の貴方のありのまま」があなた自身のセルフイメージであるということはお話ししました。
『今すぐ詳細に認識できるビジョン』こそが、あなたの最新のセルフイメージです。
Psycho-Cyberneticsの著者、Maxwell Maltz(マクスウェル・モルツ)博士はセルフイメージについて著書の中でこの様に述べています。
セルフイメージは、個人の達成の限界を設定し、「出来ること」と「出来ないこと」を明らかにする。
あなたが「セルフイメージを上げないこと」は即ち、「既に自己実現を果たしている」ということになってしまいます。
意識的にセルフイメージを今よりも高く設定しなければ、脳はあなたの進化の為に働こうとはしません。
もちろんそれは残りの生涯を賭けた最大級のものであって構いません。
ただしそれが「億万長者になりたい」「家族を幸せにしたい」「有名になりたい」といったような漠然とした願望では、海馬が採用する「明確なビジョン」とは言えません。
高すぎたり意味が広すぎる目標の設定は「ビジョンが不明瞭」であるが故にセルフイメージとして定着しにくく、かえって実現を困難にしてしまうのです。
今からやろうとしている事は「最上級」を今すぐここから目指すのでなく、
鮮明な上昇志向のビジョンを脳に繰り返し見せる事でセルフイメージを段階的に引き上げ、
その結果として豊かになり、幸せになろうということなのです。
まずは直近、12ヶ月で達成可能な明確な目標を割り出して、それを一つ目のセルフイメージとして3ヶ月間掛けて脳にインストールします。
このステップを繰り返し継続する事で段階的にセルフイメージを引き上げていきます。
より明確なセルフイメージを脳にインストールする方法
このプロセスは催眠術などの心理操作ではないため、効果はあなたのイメージ力に100%依存します。
覚醒したまま「目の前にありもしないもの」をこれから脳に見せようとする訳ですから、あなたは想像力を大いに働かせる必要があります。
「具体的にイメージしろ」と言われても・・・
となってしまうのは単に想像力の働かせ方がわからないからです。
もっと言えば「わからない」のではなく、
子供だったあなたが簡単に出来た筈の事を忘れてしまっているんです。
まずはあなたの想像力(=イメージ力)を取り戻しましょう。
イメージ力を高めるエクササイズ
EX.1:イメージの保持
step
1何でも構いませんので、何か手ごろな大きさの物をひとつ手に取ってテーブルの前に腰掛けてください。(例としてスマホ)
step
2スマホをテーブルの上に置きます。
step
3スマホを見つめたまま目を瞑り、スイッチの位置やテーブルの木目なども含めた見たままのイメージを保持してください。
step
4ゆっくりと頭の中で10カウントします。
step
5目を開けます。イメージ通りにスマホがそこにあれば成功です。
イメージの保持ができるようになったら次は動かしてみます。
EX.2:イメージの操作
step
1じっくりと観察したスマホをテーブルの上に置きます。
step
2スマホを見つめたまま目を瞑り、頭の中で手を使わずに持ち上げて空中で回転させてみてください。
step
3回転方向を色々変えてこのアニメーションの様に3Dでグルグルと回してみます。
step
4回転を止めてゆっくりと『元の位置』に戻します。
step
5目を開いた時、スマホがイメージで着地した通りに置いてあれば成功です。
どうですか?
初めから上手くいかなくても問題ありません。単に”慣れ”の問題です。
私の場合は実際5分も掛からずにできる様になったのでめんどくさがらずにやってみてください。
慣れればスマホを一度窓から放り出して駅の改札まで飛ばしてから元の位置に戻してみたり、
さらには目を閉じることなく「ポケモンGO」のように「その場に無いもの」を目の前に出現させて回転させ、
それを右手人差し指の先から発射したビームで粉々に破壊できるようにもなります。
自分の想像力に制限を掛けているのは自分自身です。
想像の世界は「無制限になんでもアリ」なのです。
イラスト化
あなたの想像力を最大限働かせ、具体的な1ステップ先(=12ヶ月後)のセルフイメージを構築します。
その助けになるのがイラストを描く事によるビジョンの視覚化です。
仕事場や家庭、旅先の風景など、実現したい事を集約したビジョンのステージを描いてください。
このイラストは手描きであっても、空間をグラフィックソフトやCADソフトでデザインするなどしてパソコンで念入りに作っても構いません。
他人に見せる物ではないので出来栄えにこだわる必要は全くありません。
自分がひと目見てありありとイメージできる物でさえあればいいのです。
描写が難しい物は文字を加えるなどして、イメージが貧弱にならないようにだけ工夫してください。
イラストは、その中にいて何かをしている自分をイメージする為のものなので、様々な状況を『俯瞰(ふかん)』している第三者視点で描く必要があります。
この時の視点は、自分の真後ろのやや上からビジョン全体を覗き込んでいる位置です。
わざわざこの背後霊ポジションを取るのは、3Dでビジョンを俯瞰する目とリアリティのある独自視点を併せ持つという意味があります。
このイラスト化のコンセプトは『ままごと』や『ごっこ遊び』における『設定』と同じです。
子供の頃に押入れの中に色々運び込んで秘密基地を作ったり、女の子であれば食器を並べたり人形にかわいい服を着せて擬人化したり、仔犬に囲まれた自分の絵をたくさん描いたりしたことでしょう。
子供の様に純粋な想像力を大いに働かせて状況を設定し、それを背後霊ポジションから眺める構図で描くという事です。
これは一年後に売上が現在の2倍になり、労働集約型の働き方から完全に開放された時の仕事部屋をイメージしたものです。
好きな物しか置いていない部屋で仕事と趣味に明け暮れている自分の姿をありありと想像します。
なお、イラストは仕事場に限らず様々なシーン(リビングルーム、車、旅先など)として複数作った方がよりビジョンが明確になります。
言語化
『ごっこ遊び』では厚紙をセロファンテープで不器用に手首に巻き付けた奇妙な工作物を、想像力によって超高性能トランシーバーとして機能させました。
ままごとでは「はい!ゴハンデスヨ」と言語化することで、空っぽの茶碗の中に真っ白いほくほくの炊き立てご飯を創造しました。
言語化とは、イラストの中に自分と共演者を配置して、その状況を言葉で説明するという事です。
自分で描いた奇妙なイラストに対して明確な意味づけを行い、その中で活動している自分の様子を細く説明してみましょう。
私が部屋に入ってまずやる事は、MacProを立ち上げて2画面からもはみ出すマインドマップの点検。
特に今すぐやらなくてはならない仕事はない様なので、部屋の奥にある本棚から一冊取り出して付箋を片手にソファに腰掛けて読んでいる。
心配事は何もなく、ゆったりとした気持ちで知識欲を満たすことだけに没頭していると、娘がドアを勢いよく開けて入ってきて私のピアノで練習を始めた。
ビジョンはくれぐれも「願望」であってはなりません。
言語化においての表現は現在形、現在進行形での言い回しであることが必須です。
単に「描写」するだけでなく、自分の服装や部屋の中を移動する時のスリッパの音、パソコンを操作する手の感じや本の重み、表紙の質感といった、五感で得られる細かい感触までイメージします。
服装や本やスリッパなど、『今すぐある物』は実際にその感触を確かめながら行うと尚良いです。
この場合『時間とお金に縛られず、この部屋で心配事もなくゆったりと過ごしている事』が重要なので、やっている事やその時間帯、共演者などの条件はその都度変わってしまっても構いません。
必ずあなたが実現したい物や現象を含めてイメージする事が重要です。
これを毎日起きてすぐと就寝前の最低二回、毎日繰り返します。
(家族がいてやりにくいと感じる場合は言語化した音声を録音し、それをイラストを見ながらイヤホンで再生することをお勧めします。)
朝晩に限らず、一人で集中できる時間がある時は積極的に行ってください。
特に海馬が記憶の選別を行う直前=就寝前のタイミングには必ず行うようにしてください。
言語化プロセスの繰り返しによってイメージがより鮮明になった物をイラストにどんどん書き加えていってください。
イラスト化と言語化のポイントと効用
この一見バカバカしいステップを通して自分の心の動きを感じてください。
どうしてもバカバカしいと感じてしまうのであれば、理論編に戻って脳の特性を理解してください。
想像力を発揮する助けとなるイラスト化と言語化の繰り返しによって、このステップを行った記憶そのものが自動的に「今の鮮明なビジョン」として感じられるようになっています。
複数のイラストを用いる場合はそれぞれに対して必ず言語化を行ってください。
新規イメージのインストール完了
掛かっても3ヶ月程度で海馬のふるいにかけられた記憶(=最新のセルフイメージ)が入れ替わるはずです。
それは明らかな「違和感」として実感する事ができます。
インストールした新しいセルフイメージと以前のセルフイメージである「現実」との間にギャップが生じているからです。
こうなると脳はそのギャップを解消するために必要な情報を探し出してそれをあなたに与え、あなたを合理的に活動させるよう自動的に働きます。
一度意図的に更新したセルフイメージは、『上げた』時と同じ手順を踏んで意図的に下げない限りは下がることはありません。
わざわざまた3ヶ月もかけてセルフイメージを下げることより、ギャップを解消する方が脳にとっては楽だからです。
ここまで来ればあとは自動的に物事が進みます。
最後に
この手法は、脳で記憶が作られるメカニズムを活用する物です。
この「実践編」に書いた方法論の裏付けは全て「理論編」で述べています。
脳科学の知識を転用したこの手法は引き寄せの法則のアファメーションを阻害する物でもありません。
如何なる自己実現のプロセスを実行されている方でも並行して試してみる価値は十分にあります。
理論編と併せてかなり長くなってしまいましたが、
ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。
(*^ω^*)ノ